お知らせ
第45回動物臨床医学会年次大会にて、ペッツファースト動物病院 神戸三宮医院 院長(門真医院/大阪医院 兼任院長) 上杉獣医師が学会発表を行いました
2024年10月開催の第45回動物臨床医学会年次大会にて、ペッツファースト動物病院 神戸三宮医院 院長(門真医院/大阪医院 兼任院長)上杉獣医師が学会発表を行いました。
獣医臨床医学会は、日本学術会議の協力学術研究団体として認められている正式な学会です。 臨床獣医師の症例検討会を柱とし、現場の獣医師が明日からの臨床に生かせる知識を得ることができる場を提供することにより、臨床獣医学の向上を目指しています。
毎年、年に1回年次大会として大阪にて国内最大級の学会を開催していますが、今年も2024年10月5日、6日の2日間で大会が開催されました。今大会の参加者総数は、2,378名(獣医師921名、愛玩動物看護師・スタッフ195名、学生455名、企業関係者807名)で、臨床系の獣医師・動物看護師から基礎系の研究者まで多くの有識者が参加し、活発に議論がなされていました。(学会HP)
今回、上杉獣医師より発表させて頂いた演題は、「FIP感染猫の腸管機能」です。
FIP(猫伝染性腹膜炎)の原因ウイルスである猫コロナウイルスの腸管生物型である猫腸管コロナウイルス(FECV)は、ネコ腸炎の一般的な原因で、FIPを引き起こす猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)はFECVから変異していると考えられています。そのため、FIP感染において腸管機能はその病態に大きく影響を及ぼしていると考えられています。
そこで、いくつかの腸管マーカーについてFIP感染猫と健常猫との比較を行った結果、FIP感染が腸管に障害を与え、腸管透過性が亢進し、腸管からのバクテリアルトランスロケーション(腸管内細菌が粘膜バリアーを通過して、体内に移行する状態)が発生し、全身性炎症が亢進している可能性が示唆されました。
2018年からペッツファーストグループは日本獣医生命科学大学と共同研究を行い、FIPの発病のメカニズム解明や治療方法や予防薬の開発など、FIPを「不治の病」から「治る病」にするための支援に取り組んできました。
その成果として、ペッツファースト動物病院にて治療に取り組んだ多くの猫たちがFIPの代表的症状である腹水などがなくなり、血液検査も正常値まで回復し、正常な日常生活が送れるようになっています。今ではFIPは「寛解できる病気」として、治療法が広まりつつあり、2024年12月からはFIPの早期発見を目指す「FIP予防検診」もスタートしました。
今後、臨床的な知見の積み重ねはもちろんのこと、より症例数を増やし、FIPと腸管機能、腸内細菌叢などの関連についても調査していき、FIPの病態解明にも貢献していきたいと考えております。