FIPの検査と治療

検査について

FIPは治療方法だけでなく、診断基準も確立されていないのが現状です。
それにより、FIPを発症しているにもかかわらず検査結果が陰性と出て、治療が手遅れになってしまう場合もあります。そのためFIPを早期に治療するには、まずはあらゆる検査結果や問診・症状など複合的なデータをもとに正確な診断を行うことが重要です。

当院ではFIPの早期発見・早期治療ができるよう、日本獣医科学生命大学との最新の研究結果に基いた精度の高い検査方法を取り入れています。

検査項目

血液検査
  • FIP抗体価
  • 白血球数
  • グロブリン値(ポリクロナルガンモパチー)
  • A/G比
  • 血清アミロイドA(炎症の数値)
  • 肝酵素値
  • PCR検査(ウイルス量測定)

FIPを発症すると貧血やリンパ球の減少、血清蛋白濃度の上昇などが見られる傾向にあります。
CBC(全血球検査)と生化学検査を行い、FIPや他の疾患の可能性を検証します。

エコー検査
  • 腹水、胸水
    (ウエットタイプ)
  • 肉芽腫(腎臓や肝臓のしこり)
    (ドライタイプ)
  • 腸管のリンパ節を確認

腹水や胸水・肉芽腫の病変を検査します。
FIPでは腸管のリンパ節肥大が見られることも多いため、他の炎症や腫瘍性病変と鑑別する必要があります。

治療の流れ

Step1検査・診断

検査・診断

一度の血液検査やエコー検査でFIPの診断に至る場合もありますが、 特に初期段階では、一定の間隔で検査を行う必要があります。
かかりつけ医で、すでに各種検査や治療を行っている場合は、必ずその検査結果や治療内容の共有をお願いいたします。早期発見につながります。

診断の結果をもとに、今後の治療方針を決定します。
その際、猫ちゃんの症状や体調に合わせた治験薬と治療に関するご説明、医療費についてもお伝えします。

Step2入院治療

入院治療

FIPの治療は入院が原則です。病態の進行に合わせて、注射薬、内服薬を使用します。 また、血液検査、エコー検査を中心とした定期的な検査を実施します。

入院治療

入院期間中はICU室や入院ケージでお預かりし、猫ちゃんの体調に合わせた処置を行います。すでに服用されている薬や療法食があればお持ちいただき、生活において注意すべき点があればお申し付けください。

入院期間中は面会にお越しいただくことも可能です。

※面会時間は各院にお問合せください。

Step3通院検査

通院検査

投薬が終了し退院が決まったら、約1年間を目安に通院で検査を受けていただきます。
血液検査や画像診断などを行い、治療の効果を測定します。
約1年間の検査で異常がなければ検査を終了し、経過を見ていきます。

※経過状況によっては通院検査期間が延長となる場合がございます。

治療スケジュール

治療スケジュール

3ヶ月を目安に当院に入院いただき、経口や注射による投薬と、診察・検査を行います。
退院が可能と担当獣医師が判断した場合は、経過観察期間として1年間を目安に通院で検査を受けていただきます。
その後は担当獣医師判断により検診を続ける場合がございます。

獣医師メッセージ

ペッツファースト専属獣医師 林田

ペッツファースト専属獣医師 林田

これまでFIPは発症するとほぼ100%死に至る「不治の病」で、多くのペットオーナーさんや獣医師の頭を悩ませてきました。特に免疫力の弱い1歳未満の若い猫ちゃんたちが発症しやすく、やんちゃ盛りの成長期に苦しい闘病をしなければならず、ペットオーナーさんの精神的負荷も相当なものでした。

そんな中でペッツファーストは日本獣医生命科学大学と共同で症例検討を重ね、FIPに対する治療法の確立を目標に取り組んできました。その結果、FIPは「不治の病」から「治せる病気」へと変化していき、現在では治療した猫ちゃんたちの多くはペットオーナーさんと共に元気に過ごしています。
数年に渡り多くのFIPの治療を行ってきたことで、ペッツファーストはFIPに対する確かな治療法やアフターフォローを提供することができるようになりました。

これからも知識と経験をどんどんアップデートしていき、目の前の1頭にその時の最善の治療を提供していきたいと思っています。

まずはお早めに当院へご相談ください。